「スクリーンの役割」
~壁投射じゃ物足りなくなるワケ~

著:遠藤義人(fy7d)

「均一性」と「平面性」


テレビ離れがすすみ、映像コンテンツはスマートフォンやタブレットから得るようになりました。「使っていないときには存在感を隠したい」という
インテリアを重視するご家庭もあり、プロジェクターが見直されています。
そういった中でも、スクリーンを使わずに壁に直接投射する方がいるようですが、「わあ 大きい!」と思うのは最初だけでしょう。
自動車に例えると車体とタイヤの関係のように、プロジェクターにとってスクリーンはとても大切なのです。壁投射では、せっかくのプロジェクターの実力
を全然出せていないのです。
たとえば懐中電灯の光を壁に照らすと、中心が明るく(ホットスポット)、周囲が徐々に暗くぼやけます。でもプロジェクターの映像は、四隅まで均一に
明るく鮮やかでなければなりません。投射映像を「視聴環境に合わせて、なるべく均一に配光」するのが、スクリーンの役割のひとつです。

全白投射でムラがある例(画像加工により強調しています。)

もうひとつ重要なのが、「平面性」です。とくに投影面に対して極端に斜めに投射する「超短焦点プロジェクター」では、壁が少しでも波打っていると、
映像も大きく波打ったり歪みます。テロップやパンニング(カメラが横に移動する)する映像ではとても気になるでしょう。

「超短焦点プロジェクター」では、漆喰壁や一般的な巻き上げ式スクリーンではこれくらい歪みます。

超短焦点プロジェクター専用「耐外光スクリーン(ALR)」


キクチのスクリーンは、求められる映像や視聴環境に合わせた多数の「幕面」を用意しています。4K/8KやHDRに対応する高画質志向のモデルから、
反射特性と明るさを重視したモデル、リビングなど生活空間でも観やすいモデルまで、ニーズに応じて選べます。

Recodis®シリーズ


とくに昨今人気の超短焦点プロジェクターには、上からの照明光をブロックして、下に置いたプロジェクターからの投射光を視聴方向に反射する
「耐外光スクリーン(ALR、Ambient Light Rejection)」が極めて有効です。観る角度によって絵が変わるポスターを見たことがあると思うのですが、
表面に極めて細かいギザギザを施すことによって実現しています。(レンティキュラー、lenticular)


「超短焦点」の実力を引き出すなら「パネル式」


スクリーンの幕面をピンと張るための構造部分(機構)にも、用途や視聴環境に応じて様々な種類を用意しています。 人気なのは、使わなときは天井に巻き上げておく「巻き上げ式」、さらにリモコンでワンタッチで上げ下げできる「電動」タイプです。

Stylist電動シリーズ


ビジネスユースでは、使うときだけ引き上げてつっかえ棒に引っ掛ける「モバイルタイプ」が人気です。

KUP-FTシリーズ


もっとも「平面性」に優れるのは、四角いフレームに生地を張り込む「パネル式」です。巻き上げて収納することはできませんが、テレビを消したときの
ような大きな黒い石板のような存在感はありません。
キクチでは「平面性」が強く求められる「超短焦点プロジェクター」には最適と考えているとのことです。

SPB-UTシリーズ


この「超短焦点プロジェクター」+「UT」の組み合わせを、現在の大画面ホームシアター技術のひとつの到達点として、オススメしたいです。

その2 超短焦点プロジェクターはライフスタイルを変える!?~ミニ映画館から「テレビの置き換え」へ~


その3 「超短焦点」「耐外光」対応の新型スクリーンSPB-UTを組み立ててみた!~大型TVより導入しやすい!組み立ても1時間ほど~

著:遠藤義人(fy7d)